三つの流派

*本場台湾・中国での認知度
紫微斗数は台湾を中心に非常に高い人気を誇っており、台湾では街角の占い師からプロフェッショナルな命理学者まで広く活用されています。
多くの人が人生の節目(結婚、就職、起業、引越しなど)に紫微斗数の鑑定を受けることが社会に深く根付いており、テレビやネット上でも占い特集が組まれるほど。また、中国本土でも紫微斗数は復興しつつあり、特に都市部の若者の間で再び注目されているようです。
かつては文化大革命の影響で占い文化が一時的に衰退しましたが、21世紀に入ってからは命理学が「伝統文化」として復権し、紫微斗数も再評価されています。
*日本での認知度
日本では、紫微斗数はまだそこまで一般的とはいえないようです。
四柱推命や九星気学、姓名判断などが広く知られている一方で、紫微斗数は「知る人ぞ知る」専門的な占術という位置づけです。
しかし、インターネット(YouTube)や書籍などで紫微斗数を扱う占い師も増えており、徐々にその知名度は高まりつつあります。
特に、より精緻な運命分析を求める人々の間で「紫微斗数は当たる」と評判になり、学習する人も増えています。
*紫微斗数で分かる主なこと
〇性格・才能の分析・・・紫微斗数は、非常に詳細な性格診断が可能です。リーダーシップがあるのか、芸術的才能があるのか、慎重なのか大胆なのか、対人関係におけるスタイルまで細かく判定します。
〇人生の運勢の流れ・・・一生の流れを「大限」と呼ばれる10年ごとの周期や、1年単位(流年)、月単位(流月)で読み解くことができます。これにより、チャンスが巡ってくる時期や試練が訪れる時期などを予測します。
〇職業適性・キャリアの方向性・・・どのような職業が向いているのか、成功しやすい分野は何か?また、転職のタイミングなども知ることができます。
〇結婚・恋愛運・・・結婚の時期や相性の良いタイプ、結婚後の家庭運なども詳細に占うことができます。
〇金運・財運・・・お金に対する運勢や、投資・貯蓄に関する適性、財の出入りのタイミングなどが分かります。
〇健康運・・・どの時期に健康面で注意が必要か、どの部位が弱点かなども分析できます。
*紫微斗数の鑑定方法
紫微斗数の最大の特徴はその緻密さと幅広さにあり、生年月日・出生時間・出生地をもとに「命盤」と呼ばれるチャートを作成し、星々がどの宮に位置するかを算出したもので、これをもとに全体の分析を行います。
使用する星は「主星」と呼ばれる14個の主要な星を中心に、100以上の星が存在し(流派にもよりますが、おおむね40個程度の星々を使ってみる場合が多い)、これらが12の「宮」と呼ばれる枠(人生の各分野)に配置されることで、様々なことを観ていきます。
*命盤の中には以下のような宮が配置されており、これら12宮の配置と星々の組み合わせ、さらには年運や月運などの流れを加味し総合的に鑑定を行います。
人生のあらゆる側面、性格、才能、恋愛、仕事、財運、健康、さらには人生の流れそのものを詳細に読み解くことができるのが、紫微斗数の大きな魅力です。
1 命 宮(めいきゅう)・・・・・・性格や資質・品格・行動など、宿命的先天運を表す宮
2 兄弟宮(けいていきゅう)・・・・ごく身近な人との関係などを表す宮(兄弟姉妹や親友、母親のことなども見る)
3 夫妻宮(ふさいきゅう)・・・・・配偶者(恋人)のことや結婚の幸福度など表す宮(女性にとっては命宮の次に大事な宮)
4 子女宮(しじょきゅう)・・・・・子供に関することや、仕事上のパートナーなどを表す宮(女性の場合、婦人科系全般も表す)
5 財帛宮(ざいはくきゅう)・・・・財運(お金に関すること)や結婚後の夫婦関係などを表す宮
6 疾厄宮(しつやくきゅう)・・・・健康・体質・病気など全般をみる宮(病気の種類・遺伝性のことなど)
7 遷移宮(せんいきゅう)・・・・・社会運や外出運・第一印象などを表す宮(事故・災難にまつわることもみる)
8 奴僕宮(ぬぼくきゅう)・・・・・対人関係全般を表す宮(ご近所さんや同僚・同級生・サークル仲間など)
9 官禄宮(かんろくきゅう)・・・・仕事や活動などに関することを表す宮(男性には特に重要な宮)
10 田宅宮(でんたくきゅう)・・・・家庭や住居状況などを表す宮(土地や家屋・不動産なども表す)
11 福徳宮(ふくとくきゅう)・・・・精神的なこと全般(満足度)などを表す宮(趣味・娯楽や深層心理・先祖のことなども表す)
12 父母宮(ふぼきゅう)・・・・・・父母(主に父親)との関係を表す宮(上司や先輩、師匠など目上の人との関係も表す)
*西洋占星術との違い・・・いずれも星の配置をもとに運命を読み解くという点では共通していますが、そのシステムや哲学はかなり異なります。
*星の種類・・・西洋占星術が太陽系の惑星(太陽、月、水星、金星など)を中心に扱うのに対し、紫微斗数は伝説上や象徴的な星を含む100以上の星を扱います。
*命盤の構造・・・西洋占星術は12星座を基盤とし、天体の角度(アスペクト)を重視しますが、紫微斗数は12宮と星の配置を中心に読み解きます。
*時間の区切り・・・紫微斗数は10年単位や年単位での長期的な流れを重視し、人生の「局面ごとの運勢」を明確に示すのが特徴です。
*紫微斗数における三大流派とは?
紫微斗数は、1000年以上の歴史の中で複数の流派に分かれ、各流派が独自の解釈と技法を発展させてきました。
中でも、現在の紫微斗数を代表する三大流派として知られるのが、「星曜派」「飛星派」「欽天四化派」です。
それぞれの流派には異なる占断の哲学と方法論があり、これらを理解することで紫微斗数の奥深さがさらに明確になります。
1. 星曜派(せいようは)
星曜派は(日本では三合派とも呼ばれる)、紫微斗数の「星の性質と配置」に焦点を当てる流派です。
「星曜」とは、紫微斗数で用いられる数十〜百以上の星々のことを指し、それぞれの星が持つ意味や吉凶を重視して占断を行います。
星曜派は古典的な紫微斗数に忠実であり、14の主星(紫微星、天機星、太陽星、武曲星など)と、数多くの副星や輔星(助ける星)・煞星(害をもたらす星)の
配置と組み合わせを詳細に読み解くのが特徴です。
(分かること)
○性格と才能・・・星曜派では、各宮に入る星の組み合わせから、その人の性格傾向や持って生まれた才能を判断します。
○人間関係・・・星の配置により、親子、兄弟、夫婦、友人関係の吉凶や性質を細かく読み解くことができます。
○職業適性・・・官禄宮に入る星の種類や組み合わせによって、どのような職業が向いているか、昇進の可能性などが明らかになります。
○一生の運勢・・・大限(10年ごとの運勢)の流れを星の配置で見ることで、人生の浮き沈みを長期的に予測します。
星曜派は全体のバランスと星同士の関係性を重視するため、性格診断や人生の傾向を総合的に知りたい人に向いています。
特に初心者が紫微斗数に触れる際は、この星曜派がベースとなることが多いです。
2. 飛星派(ひせいは)
飛星派は、星曜派をさらに発展させた流派で、「星が時間とともに動く=飛ぶ」ことに重点を置きます。
この派では、特に「化禄」「化権」「化科」「化忌」という四化星の飛び方(配置変化)を軸にして運命を読み解きます。
「飛星」とは、特定の星が天干や年運によって他の宮に「飛んで」影響を及ぼすという考え方です。
これにより、より動的で時間軸に沿った精密な鑑定が可能になります。
(分かること)
○運命の変化のタイミング・・・飛星派は特に、年ごとの運勢や流れの変化に優れています。
○具体的な出来事の予測・・・飛星の動きにより、何年に昇進する、何年に結婚するといった具体的な出来事のタイミングを予測するのが得意です。
○吉凶の判断が明確・・・四化星の位置によって「吉か凶か」がはっきり示されるため、判断が明快で分かりやすいのが特徴です。
○因果応報の視点・・・特に飛星派では、「過去の行いが現在に影響を与え、さらに未来に結果が現れる」という因果応報の理論が色濃く反映されます。
飛星派は、具体的な運勢のアップダウンや、今年・来年に何が起きるかを知りたい人に向いています。
キャリアアップの時期、転職、結婚、金運の変化など、タイミングを重視する人には飛星派がぴったりです。
3. 欽天四化派(きんてんしかは)
「欽天」とは「天を敬う」という意味で、「天を尊び、天意を観る術」として、宇宙的な秩序と法則を基盤にした体系です。
この流派でも四化星(化禄・化権・化科・化忌)を重視しますが、飛星派とは異なり「命盤の中の隠れた関係性」を深掘りすることに特徴があります。
欽天四化派では宮と宮の相互関係や、生年四化や自化、向心力などを同時に考慮し、より多次元的に命盤を読み解くことを重視します。
(分かること)
○因縁とカルマの解明・・・欽天四化派では、前世からの因縁や魂の課題、カルマの流れを読み解くことができます。その人がこの人生で何を学ぶべきか、どんな課題を乗り越えるべきかが分かります。
○人生のテーマと使命・・・単なる吉凶判断ではなく、人生全体のテーマや魂の目的が浮かび上がります。何のために生まれてきたのか、使命感に目覚める手助けになる占法です。
○深層心理と無意識の動き・・・欽天四化派は宮と宮の隠れたリンクを重視するため、自分でも気づかない無意識のパターンや、心の奥底にある欲求、恐れも分析できます。
○運勢の流れの根本原因・・・なぜその運勢の波が来るのか、単なる「良い・悪い」ではなく、根本的な理由や背景まで説明が可能です。
欽天四化派は単なる未来予測にとどまらず、人生全体の意味や魂の課題に関心がある人に適しています。
スピリチュアルな視点を大事にし、自己成長やカルマの解消を目指したい人には、この派のアプローチが深く響くでしょう。
三大流派の違い
流派 特徴
☆星曜派 星の配置と性質を重視 (性格・才能・人生の基本傾向を知る)
☆飛星派 星の動き(四化)の飛び方を重視 (具体的な出来事や時期を予測)
☆欽天四化派 因果・カルマ・宮の相互関係重視 (魂の課題や人生の意味を探る)
三大流派は、それぞれが紫微斗数の異なる側面を担っています。
星曜派は全体像の把握に優れ、飛星派は未来予測に強く、欽天四化派は深層的・スピリチュアルな読み解きに長けています。
現代の鑑定士はこれらの流派を組み合わせて使うことも多く、クライアントのニーズに応じて柔軟にアプローチを変えています。
つまり、紫微斗数は流派ごとに異なる「解像度」で運命を映し出すレンズのようなものなのです。